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令和5年度論文式試験 商標の講評

みなさんこんちは!士業猫です!
さて、とうとう最後になりました第4弾!
今回は商標法について講評していきます。

問題Ⅰで知識系、問題Ⅱで事例系の例年通りの出題でした。
商標法は、ここ数年出題形式の大きな変更は見受けられないので、
今後もこのような形式で出題されると予想できますね…!

それでは、問題ごとの難易度をみていきましょう!

商標法【問題Ⅰ】

とうとう出題されましたね!使用許諾制度!
近年の権利化後を問う傾向と、本質的事項を問う傾向を合わせれば…
予想していた予備校もあったかと思います。
士業猫もここは出題可能性があると予想していました!←ほんとか?

【設問(1)】難易度:易

使用許諾制度の趣旨を問う問題。
青本(逐条解説)の内容を再現できればOK!

使用許諾制度の趣旨部分を再現できれば合格ラインと思いますが…
使用許諾制度の可否を出所混同・品質誤認の観点から言及できれば、さらに加点されていると思います。特許や意匠でミスした受験生は、そこまで記載しておきたいところ。

内容自体は青本事項なので、論文対策が完了している受験生にとっては易。
短答試験突破後で趣旨対策が間に合わなかった受験生はここで差がついたかも…。

【設問(2)】難易度:普

専用使用権と通常使用権の比較を問う問題。
基礎レジュメ事項の再現は現代の受験生の苦手とするところ…。

記載事項は把握してはいるものの、どこまで記載すればよいのかあいまいで、
その辺りが受験生を悩ませるポイントですよね…。

趣旨を含め、このような知識を問われる問題を記載するコツは、
満点を狙わないことです。意外と思われる方もいるかもですがこれが真理。

なぜかといえば、知識はどこに配点が振られているか不明確だからです。
つまり、がんばって記載したとしても加点になっていない可能性もあるためです。

そのため、こういった知識系は、原則論をしっかり記載し、
例外の記載はほどほどにして、他の受験生と差がつかない程度に記載することがおすすめ。

採点基準が明確な問題Ⅱの事例に力を入れ、得点源にしたいところです。

商標法【問題Ⅱ】

恒例の複雑事例系です!令和5年度の論文試験の中では一番複雑な事例ですね。
ここでは問題の知識よりも、事例の正確な分析が大切なところ…。
時系列を慎重に書き出していきましょう。

内容としては、無効審判の無効理由と、取消審判の適用を問う問題。
無効理由としては8条1項、4条1項10号、
取消審判としては53条、
ということになるかと思います。

8条1項については、国際出願の出願日認定をしておかないと特定できない点に注意です。
もう国際出願は必須出題事項ですね…。苦手意識は早めに克服しておきたいです!

4条1項10号も、フェイク記載が多く15号と19号の間で迷わされる…。
ただ、出願時及び査定時に日本国で周知なことは明確なので、自信を持って10号を認定したいところ。

取消審判は、
登録から3年未経過→50条の適用なし
商標権者の使用なし→51条の適用なし
商標権の移転なし→52条の2の適用なし
代理人なし→53条の2の適用なし

通常使用権者の使用により、甲と出所混同→53条の適用あり
となります。

複雑事例ですが、それぞれの審判の請求要件を満たすかどうか、
丁寧に検討しておきたいです。

今回は、有効と考えられる審判を複数挙げたうえで、要件とそのあてはめまで問われています。最近の商標法は規範定立とあてはめを重視している傾向がありますね。
なので、制限時間もありなかなか難しいですが、該当する審判については、できるだけ規範定立をしておきたいところです。

なお、結果的に有効でない50条や51条については、あっさり要件を否定しておくくらいでもよいかと思います。

まとめ

以上、商標法の講評でした!

商標法は、ここ数年、特許や意匠よりも規範定立と当てはめにこだわっているような問いが目立ちます。
そのため、今後商標については規範定立を意識した練習が合否を分けるかもしれませんね。

また、特許・意匠に続き、商標でも国際出願の影が…!
令和5年度は、すべての科目で国際出願が出題されたことになります。

これは来年に向けた示唆でもあると思います…。
なので、国際出願が苦手な方は早期からの対策を心がけましょう!

それでは、今回で令和5年度の論文試験の講評はすべてです!

以上、士業猫が現場からお伝えしました!